6,図書館の職員=「専門家集団」
運営の「民間委託問題」と対峙した経験の中で得られた確信
「文化会館たづくり」の建設計画の検討の中で、会館の運営体制をどうするかが大きな課題となりました。
芸術・文化のホールやギャラリーと、中央図書館と、生涯学習センターの諸施設などを一体的に複合化する施設は、市役所の一部所で管理運営することは難しいことから、調布市は、「公益社団法人調布市文化・コミュニティ振興財団」を設立して、同財団を指定管理者とする契約を結ぶことにしました。
その際、中央図書館の運営も指定管理者に委託するかどうかが検討されることになりました。
その検討の中で、最大の問題は、調布市立図書館が築き上げてきたサービスレベルの高さを、指定管理者が同等に維持できるかと言う点でした。
市民の中から、図書館の運営を指定管理者に委託することには反対の声が多く、指定管理者への委託に反対する市民運動が急速に盛り上がったことから、図書館は直営を継続することになったとのことでした。
図書館を利用していた市民から、調布市立図書館の職員に対する信頼が厚かったことが分りますが、それは図書館の職員は圧倒的に司書が多く、専門家としての司書の集団であることを市民がよく知っていたし、そのことの値打ちを理解していたと言うことだったと考えられます。
調布市立図書館にとって、職員集団=専門家集団こそ掛け替えのない財産と言えると思います。
その後、宅配ボランティアから始まり、さらに館内ボランティアを加え、合わせて図書館ボランティアとして図書館を応援する市民が100人を超えているなど、市民とのつながりがますます強くなっている調布市立図書館は、指定管理者では真似の出来ない境地に立っているように思えます。
7、今後の課題
小池館長の想いとして語られたものと受け止めました。
ここまで創り上げてきた調布市立図書館のレベルを持続可能とするために、質的な強化を着実に進めて行くことが強調されていると思われます。
(1)若い職員の育成
「専門家集団」が支えている調布市立図書館に相応しく、今後の課題の第1に「若い職員の育成」が掲げられることに本気度を感じます。
(2)10年間で17人の司書採用
職員を育てることについては、10年間単位の長期の構想が必要であることが、実践的課題として当たり前に考えて行く組織風土になっていることを感じさせられます。
(3)施設の老朽化対策
・分館4館が築40年以上経過。
・分館5館が2階建て バリアーフリー化が不備 エレベーターが必要。
10館の分館全体のレベルアップを着実に具体化する計画づくりを目標としていることが感じ取れます。
(4)今後の図書館ビジョン策定
「”日本一“役立つ・満足できる図書館」以上のビジョンが考えられるものでしょうか。
小池館長が漏らして下さったイメージも、何か目新しいことを考えようと言うことではなく、「”日本一”役立つ・満足出来る図書館」の一層の質的充実、レベルアップを考えておられるようでした。
2020年03月09日
No 57 調布市立図書館見学報告(第5回)
posted by ひろみ at 13:34| Comment(0)
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