2019年11月12日

「住民訴訟」 クライズの社長と、市の担当職員に対する「証人尋問」のレポート

 上尾の図書館住民訴訟「第1回証拠調べ期日」(11月6日)

よかったこと 

➀当日朝、弁護団3人から、尋問の要旨の文書を、原告と傍聴者に配布してもらえたので、目を通しながら、弁護士と一緒になって尋問しているような一体感を得られたこと。
➁弁護団の尋問の内容が、私たち原告団事務局と何度も協議し、調査を重ねてきたことが生かされ、しかも、各弁護士の尋問力が鋭く発揮され、はぐらかしに徹していた証人から、いくつか貴重な答弁を引き出せたばかりではなく、3人の裁判官にも不審を感じていただけたのではないかと思えること。
特に、伊須慎一郎主任弁護士の尋問は、たたみ込むように質問を深く重ねて、証人に迫り、見守る私たちは胸のすく想いを感じることができました。
いつもは優しげな人柄の谷川生子弁護士が、理詰めで、毅然と尋問をされた姿には驚ろかされました。
➂谷口豊裁判長をはじめとする3人の裁判官からの尋問も、かなりたくさん出されたこと。
裁判官が被告側の証人に質問すると言うことは、これまでの資料を深く読み込んでいる上で、
問題意識や不審をもっておられる証左と考えられ、質された点は、私たち原告にとっては、さらに調査し、究明していくべきポイントになると考えています。

残念だったこと 

➀裁判官の声が小さくて、聞き取りにくかったこと。特に向かって右の席の男性裁判官の声は、ほとんど聞き取れませんでした。逆に左手の席の女性裁判官の声はよく聞こえました。
➁午前中だけしか参加できずお昼でお帰りなられた方がいたため、午後の一番大事な尋問の時、傍聴者が少なくなっていたこと。午前・午後にわたる裁判は厳しいことだと思います。
一番聞いていただきたかったところを聞いていただけなかったわけで、午後からのみ参加の方の募集もすべきでした。
➂メディアへの取材依頼はしてあり、記者席には3人見かけたのですが、最後まで取材を続け、記者会見(と言っても立ち話)に応じてくれたのは「読売新聞」の若い女性記者でした。
伊須弁護士にいろいろ熱心に質問していたので期待していたのですが、翌日の朝刊には記事の掲載はありませんでした。

今後に生かしたい「証言の内容」 

➀上平の土地・建物を買い取った資金は、証人の父親の退職金として会社(当時新埼玉リース)が引き当ててあった自己資金であったことが分かりました。大事な資金を投入しておきながら、すぐに活用して収益を生むことを考えず、寝かしていたことは不自然です。
上尾市に高く買ってもらえると当て込んで、不動産投資として買っておいたことが考えられます。クライズ社長井上拓也証人が、建物への移転補償費が5,600万円にも及んだことを知ったとき、「大きな金額だと思ったが、不動産の場合、需給の関係で大きな変動をするものと知っていたので、こういうこともあるのだと思った。」と述べたことは、普通の市民の感覚ではありえません。
 新埼玉リース社の会長井上潔氏は不動産業も兼業していたことがあると言う情報をもっと調査してみることが必要です。
 また、本社を北本に移すと同時に、ハウスクリーニング事業に加えて、リフォーム事業を兼業することにしたことも、ホームサービス事業としての多角化と考えられます

➁巨額な補償金で得た利益が会社の経理でどのように処理されているか、決算書にどう反映しているか、所得税をどのくらい払ったか、固定資産税はどう変動したかなど、決算書の提出を求めて精査してみる必要があります。

➂図書館の上平への移転に反対する議員がいることを会長が島村市長から聞いていたとの証言は重要です。会長と島村市長は近隣に住み、友人関係にあったことから、図書館建設計画で用地を探していることについてインサイダー情報を得ることができる関係にあったと言えます。父(会長)と島村市長は携帯電話でやりとりをしていたかという質問に対して、
「そこまでは」と述べていましたが、親しい関係にあることを否定してはいません。

C大江化学から物件を買収してから上尾市に売却して取り壊すまで、大江化学の看板を付けたままにしていた事実について、「金がなかったので、後回しにしていた」と述べていましたが、誠実な回答とは言えません。自分の資産となったものを大事に使おうという考えがあれば、後回しにすることはあり得ません。投資物件と考えていたことの象徴的な出来事が看板はそのままにしていたことではないかと思えます。
北本に新たな物件を買い、改修費をかけて本社の移転の準備を進めていたこととは対象的な
対応ぶりです。
女性の裁判官から、「上平の建物がまだ使えるからと移転補償をするのであれば、北本へ移築して活用する考えはなかったのか」と質問が出されたことに注目しました。更地を買ってそこに移築すると言う選択肢もあり得たし、そのほうが補償を求めることについての説得力もあるのですが、そんなことは考えもしなかったことは明らかです。つまり、井上氏はホームサービスの事業家であり、土地や建物のことは、使用価値よりも資産価値を重視する人物であることが特徴的です。

D谷川弁護士が、「市の職員が最初に意向打診のために訪問するに当たって、いきなり訪問したのか、そうではなく、事前にご都合を聞くなど打診があったのではないか」と問うたことに対して、「あったかもしれない」と答えたことは重要です。これまでは、初めて訪問したとの一本槍でしたが、それでは、一見で協力を表明したと強弁することになり、そんなことはありえないわけで、かえって疑問を招くと井上証人は感じたのではないかと思われます。
事前に情報を聴き、根回しも受けていたからこそ、公式訪問の際には「待ってました」の対応ができたものと考えられます。「上手の手から水が漏れる」とはこういうことではないかと思います。

E土地収用法に基づく事業から、公拡法による土地買収に変わったことにより、譲渡所得控除の上限が5,000万円から1,500万円に下がり、1,000万円も税負担が増えることについて、市は説明もしていない、クライズ社は質問もしていない(市にお任せ)、それでいて、それは、「まさか、買い取った金額より安く買い上げることはないだろう」と思っていたと言う井上社長の証言、それでいて、「買い上げた金額のことは市へ話していない」と言い、市の鈴木利男職員も「地権者が買い上げた金額のことは聞いてもいないし、調べてもいない」と述べています。しかも、北本の物件を買収するためにクライズ社が投資した金額(銀行から借り入れた金額でもある)7,300万円と、クライズ社が上平の土地建物を買い取った金額と市に売却したことで得られた金額との差額7,100万円とあまりにも近い近似値であることは、これも話が出来過ぎになっていることが、信じられないことの原因です。
 なぜ、このようなことが起こり得たのか、解明していくことが必要です。
 普通はあり得ないことが、いくつも重ならないと起きることではない訳ですが、その最たるものは、古い建物を、除却工法(構外再築法)で移転補償することにしたことであることは言うまでもありません。移転したわけでもないのに移転補償をするのは除却を認定できないからと言う理由ですが、実際は除却しているわけで、合理的な説明は付きません。
 この点で、女性の裁判官から、「8号証の文献で除却工法について書いている考え方と同じ考え方で対処したのか、基準の解釈や運用にはもっと選択の余地があるのではないか」というような(正確か?)質問がなされたことに注目しました。
 この点は、法令の問題なので、弁護団のみなさんの精査検討を期待したいと思っています。

F公務員の仕事として、市民全体への奉仕者としてなされるべき仕事がなされていない、それを市長は監督していないという事例がたくさん伊須弁護士の尋問の中で明らかにされました。
それらの結果、クライズ社に不当な高額の補償を行ったことは、裁量権の逸脱であり、市長の責任であると考えます。もっと事例を列挙したらどうかと思います。

G市長は畠山市長に交代したにもかかわらず、島村前市長が告訴された裁判なのに畠山市長が被告の座を継承していることは疑問です。
私たちは、今年4月に、畠山市長に見直しを求める要望書を提出しましたが、「裁判の進行を見守る」と回答しており、市民からの要望に応え、異常な高値の移転補償をしたことが妥当だったかどうか、公正な市政、公平な行政のスローガンに照らして見直し検証を進める姿勢さえ示そうとしていません。もし、1審で敗訴したら、畠山市長の責任が問われることになる重大な問題となるリスクを抱えることになっているという認識を持っておられないのではないか、と疑わざるを得ません。
1審の判決が出る前に、議会でも質問していただくなど、アクションを起こすことを検討します。



posted by ひろみ at 22:45| Comment(1) | 上尾の図書館住民訴訟
この記事へのコメント
小生、耳が遠くよく聞き取れませんでしたので
詳細な報告を頂き有難うございました。
手数がかかって大変でしょうが頼りにしてます。
Posted by takao at 2019年11月13日 07:38
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